私たち妖精は異界に棲む住民です。人間たちの住むこの世のそばに存在し、ふとした時にさまざまな場所でこの世と重なりあう時空、それが異界です。人間は、自然界の特異な出来事、たとえば月食や嵐、洪水や落雷など人の力の及ばないことへの恐怖を、人間と似た姿形の存在を創り出すことで取り除こうとしたのです。日本でもカミナリ様や、なまずが地震を起こすというでしょう。
妖精の国については、さまざまな伝承があります。アイルランドに伝わるケルト神話では、妖精の祖先女神ダーナの神族があとから来たミレー族(アイルランド人の祖先)に追われ、海のかなたに逃れて楽園をつくった丘や山、湖の底にあるともいわれます。常若の国を意味するメティル・ナ・ノーグモは、はるか西方の海のかなたにある楽園で、このロマンスとダンスにあふれる不老不死の国では、住民はみな美しく、草は一年中青く生い茂り、木々にはいくつも花が咲き、たわわに果実が実っています。けれども、妖精の国がかならず見つかる場所がひとつだけあります。それは実はあなたの心の中なのです。
妖精にとって食べ物であるものも、エネルギーの実体が異なるので、人間の肉体に栄養を与えることはできません。妖精の食べ物はおいしそうに見えますが、人間の基準でいえば「本物の」食べ物ではないのです。妖精の魔法で、食べ物に見えるだけで実体がないか、草や石をそう見せかけているだけです。もしも、人間が妖精の食べ物を食べ続けると、妖精界の霊性を帯びるようになり、生者の世界に戻れなくなるといわれています。
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衣服には着る者の人柄があらわれ、象徴的な意味があることを知っている妖精は、着るものにも気をつかいます。裸体のままでいることを好む妖精もいます。妖精にとっては、神々の前ではみな裸に等しいことを示し、これが自然界に敬意を表す方法なのです。反対に、着るものにうるさく、高価で美しい衣服を好む妖精もいます。一部の妖精は、衣服を盗まれると、それを取りかえすまで人間世界にとどまる定めになっています。また、色も妖精にとっては重要で、特に赤と緑がお気に入りです。どちらも自然界の力を表わす色なのです。
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草花は妖精が育てているため、どの草花も本質的には妖精の植物です。人間の目に見える妖精の姿は、その草花の特徴を備えています。野バラ、ツリガネスイセン、キンセンカなど、多くの草花が妖精と深いかかわりを持っています。美しいことが多く、有用でもあるハーブは妖精のお気に入りです。タイムを身につけていると、妖精が見えるかもしれません。妖精は茎の中に棲んでいるといわれるので、茎をよじって魔よけを作ることもできます。四つ葉のクローバーは幸運をもたらしてくれますので、見つけたら大事にしましょう。四つ葉のクローバーの上に小麦を7粒のせると、妖精が見えるようになります。赤と緑がお気に入りです。どちらも自然界の力を表わす色なのです。
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樹木を神聖なもの、神や精霊が宿るものとして敬う樹木信仰は世界各地にあります。日本でも樹齢何百年という古木にしめ縄を張り、奉りますね。魔力があると信じられている代表的な樹木は、「オーク」「トネリコ」「サンザシ」です。ほかにも、果実がなる林檎とハシバミ、ナナカマド、ヒイラギ、柳なども魔法に関係があるといわれています。妖精は古木が好きですが、中でも白い花、香りの良い花、赤い実をつけたものなどを好みます。樹木はそれぞれの特色、季節の移り変わり、年齢によってさまざまな姿をみせます。それはあたかも人間の生命の営みのようでもあり、樹木に精霊が宿ると信じたくなる理由かもしれません。。
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妖精が月夜の晩、輪になって踊ると「妖精の輪(大体直径30cmから1mくらい)が草原の上に見られる事があります。実はこの「輪」の正体は、キノコの胞子です。キノコの胞子から伸びた菌糸が放射状に広がり、その先端の土が円を描くように豊かになるので、その部分の草が良く茂るのです。キノコのある円の内側は栄養不足になるので、そこだけ丸く禿げたようになり「妖精の輪」ができるのです。妖精は、白い斑点のあるキノコ、ベニテングダケに腰かけた姿で描かれます。ベニテングダケには、向精神性があり、ヨーロッパの魔術使いが幻覚剤として利用していた
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妖精の体は、人間と同じくらいの大きさからアリほど小さいものまでさまざまです。容姿も美しいもの、人間と動物の交りあったもの、醜く恐ろしいものまで様々な妖精がいます。妖精は様々に変身できますが、元の姿に戻るたびに小さくなり、最後はムリアンというアリになると言われます。このため、イギリスのある地方ではアリを殺すと縁起が悪いといわれています。。
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妖精(フェアリー)は直接名指しされることを嫌がります。そのため、機嫌をとり、ほめるような良い名前か、または間接的な名称で呼ぶのが良いといわれています。小さいからだで悪戯や悪いことをする妖精たちをなだめすかし、悪さや不運を封じるためです。いくつか例をあげると、「小さい人たち」「気の良いやつら」「昔の人たち」「正直な人たち」「良いお隣さん」「丘の人びと」などです。忘れずに覚えてくださいね。。
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